インテルの企業研究

サラリーマンの FIRE「企業研究」 企業研究
サラリーマンの FIRE「企業研究」

世界最大手の中央処理装置(CPU,MPU)および半導体素子メーカであるインテルの企業研究を行います。

  • パソコン向け,サーバ向け CPU ではトップ1だが,AMD に押されてシェアが低下中
  • 生産技術では台湾の TSMC に差をつけられている

インテルの歴史

フェアチャイルドセミコンダクターを退職したロバート・ノイス,ゴードン・ムーアらが,1968年7月18日にインテルを設立した。

  • 設立 : 1968年7月18日
  • 創業者 : ロバート・ノイス,ゴードン・ムーア(フェアチャイルドセミコンダクター出身)
  • 本社 : 米国カリフォルニア州サンタクララ

インテルの CEO

リップ・ブー・タン(2025年~)

2025年より,リップ・ブー・タン (Lip-Bu Tan) 氏がインテルの CEO を務めている。タン氏は,2022年8月~2024年8月にインテルの社外取締役を務めていた。

タン氏の人物像は以下のとおり(インテル発表)。

  • マレーシア出身
  • マサチューセッツ工科大学で原子力工学の修士号
  • サンフランシスコ大学で MBA
  • テクノロジー業界における深い専門知識と幅広い人脈
  • 顧客中心のイノベーションを重視
  • 高性能な企業文化を構築するリーダー

従業員宛の手紙の中で,タン氏は次のように述べた。

自分のリーダーシップの下でインテルが世界クラスの半導体企業としての地位を回復し,さらに世界クラスのファウンドリーとしての地位を確立できるように懸命に努力する

2025年4月24日,タン氏は,インテルの方針や取り組みを発表した。

  • ハイブリッドワークの従業員に対して,およそ週 3 日間の出社を求めているが,これを9月1日から週 4 日へ引き上げる。対面で過ごす時間を増やすことで,より生産的な議論を促進し,よりよい意思決定を迅速に行うこと,社員同士のつながりを強めることが狙いという。
  • 不要な官僚主義,多数の階層といった複雑な組織構造の見直し
  • 不要な会議の廃止や参加者の大幅削減による業務効率化

ファウンドリー事業の挑戦

インテルの急速な業績悪化の要因は,直接的にはファウンドリー事業にある。

かつてのように自社製品だけを製造するのではなく,他社のチップを受託製造するビジネスモデルで,インテルは 2021 年にこの分野へ本格参入した。

各地で最先端工場の建設を進めてきたが,ファウンドリーとしては後発ゆえに巨額の先行投資が膨らんでいる。

Intel Foundry Direct Connect 基調講演(2025年4月29日)

2021 ~ 2024 年,Intel の受託製造部門 Intel Foundry に対して,投資してきた総額は約 900 億ドルである(2025年4月29日,Intel Foundry Direct Connect 基調講演)。

Intel CEO リップ・ブー・タン氏は,ファウンドリビジネスを成功させる重要な 4 つの柱についても語った。

  • 知的所有権 (IP)
  • デジタルを活用したデザインフロー
  • 高い生産性を実現するデザイン
  • 高い歩留りを実現するデザイン

パソコン市場・サーバ市場の動向

パソコン向け CPU

パソコン向け CPU は,すでに出荷台数の伸びは期待できない成熟市場である。

長年のライバルである AMD からのシェア攻勢が強まっている。

加えて,これまでインテルと AMD による 2 強体制だったこの分野に,ソフトバンクグループ傘下のアームも新たな競争相手として参入してきた。

サーバ向け CPU

サーバ市場では,AI 向けの対応遅れが響いている。

パソコン市場と同様,AMD や ARM との競争が激化する中で,急成長が続いている AI 分野はエヌビディア (NVIDIA) の独占状態である。

インテルは AI 市場の急速な伸びに追従できず,存在感を示せていない。

インテルに関するトピック

米政府,インテルに 89 億ドルを投資

トランプ米政権がインテルへの出資検討(2025年8月14日)

米ブルームバーグ通信は2025年8月14日,トランプ米政権がインテルへの出資を検討していると報じた。経営不振が長期化しているインテルを支援し,米国内での生産態勢の拡充を後押しする狙いがあるという。

報道によれば,インテルがオハイオ州に建設中の半導体工場への資金援助となる可能性がある。インテルの経営不振によりオハイオ工場の完成時期は延期されている。

この報道を受け,14 日の米株式市場でインテル株は前日終値から 7 % 上昇した。

ソフトバンク,インテル株を 20 億ドル取得(2025年8月18日)

2025年8月18日,ソフトバンクグループはインテルの株式を 20 億ドル取得する契約を締結したと発表。孫正義会長兼最高経営責任者 (CEO) は,次のように述べた。

半導体はあらゆる産業の基盤だ。インテルは50年以上にわたって信頼されるイノベーションのリーダーで、今回の戦略的投資はインテルが重要な役割を果たす先進的な半導体の製造と供給が米国内でより発展していくことを期待して行うものだ

これにより,ソフトバンクグループはインテルの株式を 2 % 保有することになり,6 番目に大きな株主となる。

インテル CEO のリップ・ブー・タン氏は,ソフトバンクグループの取締役を務めたことに加え,ソフトバンク・ビジョン・ファンドが出資する半導体スタートアップのサンバノーバの機械学習・データ分析部門代表の経験もある。

タン氏は次のように述べ,ソフトバンクグループの出資に謝意を示した。

マサとは数十年にわたって緊密に協働してきたが、今回の投資によってインテルに寄せられた信頼に感謝する

エヌビディアと歴史的連携(2025年9月18日)

エヌビディアは2025年9月18日。インテルに 50 億ドル(約 7,400 億円)を出資し,半導体製品の共同開発に取り組むと発表した。エヌビディアによる事実上の救済とみられている。

「歴史的な連携となる」。

18 日に開いた共同記者会見で,エヌビディアのジェンスン・フアン (Jensen Huang) CEO とインテルのリップブー・タン (Lip-Bu Tan) CEO は強調した。

発表によると,インテルが普通株約 2 億 1,500 万株を新たに発行し,エヌビディアが 1 株 23.28 ドルで購入する。18 日時点のインテルの時価総額を踏まえるとエヌビディアの出資比率は 4 % 前後となる見通しだ。

18 日の米国市場でインテル株は 23 % 高と急騰し,38 年ぶりの上昇率を記録した。

2025年12月29日,インテルはエヌビディアが 50 億ドル相当のインテル株を取得したことを提出書類で明らかにした。この動きは,長年の失策と資本集約的な生産能力の拡張により財務が圧迫されていたインテルにとって,重要な財政的救済になるとみられている。

インテルがアップルに出資を求める(2025年9月25日)

インテルがアップルに対し出資を求める交渉を行っているとブルームバーグが米国時間9月25日に報じた。インテルとアップルの協議は初期段階にあり,両社がより頻繁に協力する可能性についても話し合いが行われているが,合意に至るかどうかは不明だ。

インテルとアップルとの関係

アップルとインテルは長年にわたり協力関係にあり,インテルはアップル製コンピュータ向けに半導体を提供していた。しかし,2020 年にアップルが自社製プロセッサを開発すると発表して以来,その関係は打ち切られた。

最新プロセス「Intel 18A」量産開始(2025年10月9日)

2025年10月9日,インテルは報道発表を行い,米国アリゾナ州チャンドラー市オコティージョ・キャンパスに開設した Fab 52 において,製造部門である Intel Foundry が最新プロセスノードとなる「Intel 18A」の量産を開始したと発表した。

Intel 18A は,他社の 2 nm に匹敵するプロセスノードとされている。

受託製造を行う Intel Foundry 部門に 4 年間で 900 億ドルという巨額の投資を行ない,最新のプロセスノードの開発やその最新のプロセスノードで製造を行う最新工場の建設を行なってきた。

決算

2024年10~12月期決算

2024年10~12月期の決算で,過去最大である 26 億ドルの赤字を計上。また,2024年に入って 4 四半期連続の営業赤字となった。

2025年1~3月期決算

2025年4月24日,インテルは2025年1~3月期決算を発表。純損益は 8 億 2,100 万ドルとなり,前年同期の 3 億 8,100 万ドルを大きく上回った(約 2.15 倍)。

減収は 4 四半期連続,最終赤字は 5 四半期連続となり,AI ブームへ乗り遅れ,経営不振が長期化している。

タン CEO は「不要な官僚主義が生まれ,業務の速度を低下させている」と課題を指摘した。その課題の対策として,4~6 月期に追加の人員削減を行うことを発表した。

2025年4~6月期決算

2025年4月24日,インテルは2025年4~6月期決算において,前四半期に発表した従業員の 15 % を削減する計画をほぼ完了したと発表。

インテルの株価は,この報道を受けて時間外取引で約 3 % 上昇したが,四半期純損失は 29 億 1,800 万ドル(約 4,300 億円)と前年同期のほぼ 2 倍であった(6 四半期連続の最終赤字)。

株価は年初来で約 12 % 上昇しており,インテルの将来は不透明であるものの,投資家はタン CEO に信頼を寄せていることを示している。

2025年7~9月期決算

2025年10月23日に発表した2025年7~9月決算は,最終利益が 7 四半期ぶりに黒字転換した。AI ブームに乗り遅れて苦境が続いていたが,業績不振の主因だった半導体受託製造事業で赤字が縮小した。

  • 売上高 : 136 億 5300 万ドル(前年同期比 3 %)
  • 最終利益 : 40 億6300 万ドル

投資家の間でインテル再建への期待が高まり,23日の米国市場の時間外取引で同社株は一時約 9 % 上昇した。

もっとも,インテルの半導体製造技術は現状,TSMC や韓国サムスン電子に及ばないとみられ,AI 向け半導体の開発でもエヌビディアに大差をつけられている。かつての「半導体の盟主」が製造・開発の両面で競争力を取り戻すには時間がかかりそうだ。

2025年10~12月期決算

インテルは2026年1月22日,第四四半期の売上高 52 億 8000 万ドル,1 株当たり利益 0.42 ドルを発表した。

リップ・ブー・タン CEO は決算説明会で,需要が「かなり強い」にもかかわらず,生産が「私の基準に達していない」ことが会社の足かせになっていると述べた。また,インテルの立て直しは「複数年にわたる道のり」であり,「時間と覚悟」が必要だと付け加えた。

これを受け,米東部時間1月23日,インテルの株価が約 17 % 超急落し,ここ数年で最大の場中下落となった。

インテル株式の取引履歴

私のインテル株式の取引履歴を示す。2023年以降,インテル株式の買付を続けている。

約定日口座取引売買数量[株]単価 [USD]
2023-10-26特定買付3633.0
2024-03-26特定買付3040.9
2024-07-25特定買付3432.0
2024-08-02特定買付4030.0

更新履歴

  • 2025年4月26日 新規作成
  • 2025年4月30日 Intel Foundry の説明を追加
  • 2025年5月24日 パソコン,サーバー,ファウンドリーに分類して,インテルの事業を分析
  • 2025年7月25日 決算発表(2025年4~6月)を追加
  • 2025年8月15日 「トランプ米政権がインテルへの出資検討」を追加
  • 2025年8月31日 「ソフトバンクグループの出資」を追加
  • 2025年9月21日 「エヌビディアと歴史的連携」を追加
  • 2025年9月27日 「インテルがアップルに出資を求める」を追加
  • 2025年10月11日 「Intel 18A」量産開始を追加
  • 2025年10月25日 決算発表(2025年7~9月)を追加
  • 2025年12月30日 「エヌビディア,インテル株 50 億ドル取得」を追加
  • 2026年1月25日 決算発表(2025年10~12月)を追加

  1. 1990年代から2000年代半ばにかけ,Microsoft の Windows と密接に結びついた「ウィンテル (Wintel)」は,PC 業界の事実上の世界標準だった。世界中の PC に「インテル入ってる (Intel Inside)」のステッカーが貼られていた。 ↩︎

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